TERUMI HAGIWARA OFFICIAL BLOG
『記者たち〜衝撃と畏怖の真実〜』

今、全国でロードショーしている映画ですが是非おすすめしたいのが「記者たち」です。米国が大量破壊兵器の存在を捏造しイラク侵攻を行ったという実話に基づく映画です。その政府の嘘の情報を見抜いた唯一の通信社がナイト・リッダーでした。他の大手新聞社はみな政府に迎合したのです。この実話は昔の話とは思えません。米国だけの話でもないのです。官房長官の記者会見で話題になった東京新聞の記者、望月衣塑子さんの映画を作る話も進んでいるとか。「記者たち」は権力に怯まない真実のジャーナリズムを描いています。地味な映画です。素敵なファッションも登場しませんが見てほしい映画です。3 月 29 日(金)より TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー 配給:ツイン © 2017 SHOCK AND AWE PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

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『マックイーン:モードの反逆児』

パリコレクションを見ていると、もしあのデザイナーが生きていたなら…と思い出すのがアレキサンダー・マックイーンです。彼のドキュメンタリー映画「マックイーン:モードの反逆児」の試写を見ました。1992年、ロンドンのセントマーチンズ美術大学の卒業ショーで脚光を浴び、翌年24歳でロンドンコレクションデビュー。以来、ロンドンで見た彼のコレクションは鮮烈に覚えています。映画にも出てくる「ヴォス」グロテスクな裸体の女性がフィナーレを飾るショーもその一つですが、義足のモデル、エイミーが出演したコレクションもドキっとしました。そのタイミングで出した、マックイーンが身障者に自分の服を着せて編集した雑誌「Dazed confuse」は今でも大切にとってあります。人間のダークな部分を引き出しながら、美しさの価値観を変えていったデザイナーでした。時にフィナーレで、振り向いてパンツを下げてお尻を見せたりと茶目っ気もタップリ。そんなアバンギャルドの精神を持ちながら、作品のフォルムは完璧な手技の服でした。

 

映画の中でジバンシーのデザイナーに抜擢されアトリエで仕事をし始めたとき「職人の人たちも僕らと同じように扱われるべきだ」と地下の職人たちの食堂へ行き一緒にランチをします。そんな優しさを持つ天才デザイナーの孤独がドラッグと死を招くことに…。2010年2月、その訃報はパリコレクション発表の直前でした。ニューヨークコレクションの取材中だったので、すぐにミートマーケットのマックイーンのブティックに行くとお店の前にはたくさんの花が置かれていました。当時は最愛の母の死が原因とかドラッグの事故か自殺か断定していませんでしたが、40歳の若さでの逝去は残念でした。コレクションでは知りえない彼の内側に迫るこの映画、ファッションに興味がない人も見ごたえのある映画です。4/5(金) TOHOシネマズ日比谷 ほか 全国ロードショー © Salon Galahad Ltd 2018

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「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」LGBTをテーマにした映画

サタデーナイト・チャーチ」の試写に行ってきました。「土曜の夜の教会」ここは世間で行き場のない気持ちを抱えるLGBT+Qの人たちを支援する場所です。ブロンクスに住む青年ユリがある日、トランスジェンダーのグループに誘われて「土曜の夜の教会」に行き自分の道に進んでゆくという実体験をもとにしている話です。人がみな、体型も性格、考え方や嗜好が違うようにLGBTも一人の人格を作っている個性です。みなさんに受け入れてほしい。まだまだ不適切な発言をする人がいるのは残念です。この映画で唯一救いだったのはユリの母親の愛情。社会問題をミュージカルタッチで描いた作品で海外の映画祭で数々の賞を受賞しています。ぜひご覧ください。2月22日(金)新宿ピカデリー他全国公開 配給:キノフィルムズ ©2016 Saturday Church Holding LLC ALL rights reserved.

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「ちいさな独裁者」 by ロベルト・シュヴェンケ監督

ちいさな独裁者」の試写を観ました。1945年4月、終戦まで1ヶ月に迫ったドイツが舞台です。脱走兵ヘロルトは乗り捨てられた軍用車両で軍服を発見し寒さをしのぐために着込みます。初めはドキドキしていたヘロルトですが、ナチス将校になりすまし兵士を率いる親衛隊長となります。服の威力が魔力になってしまうという少し怖い話です。一兵卒が軍服と同時に権力も手に入れ、囚人を処刑するリトルヒットラーとなってゆくこの物語は、実在した脱走兵がモチーフになっています。映画の最後、テロップが出てくると軍服を来たヘロルトがジープに乗って現代のドイツの街に出現し、普通に暮らす人々を取り締まる映像が流れます。今の時代にも独裁者は現れる!ロベルト・シュベンケ監督は、権力構造の闇があちこちに渦巻いている現代社会への警鐘としてとして本作を制作しました。必見です!2019年2月8日ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開

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© 2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film

『バハールの涙』 by エヴァ・ウッソン監督

これは真実の物語です。2018年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドさんを覚えていますか?自ら性暴力の被害に遭いながら、今も続く紛争に巻き込まれている女性たちを救う行動を起こしています。『バハールの涙』この映画はそのナディアさんと同じ境遇に遭ったクルド人女性が主人公です。弁護士のバハールは I Sに夫を殺害され捕虜となった息子を助けるために女性戦士として立ち上がります。バハールを追いかけ戦場で取材を続ける片眼のジャーナリスト、マチルド。彼女は「世界の人々にあなた方の真実を伝えたいのではない。戦うあなた方のために真実を残したい」と語ります。危険にさらされても、報道し続けるジャーナリストの信念が伝わります。今も世界で起きている内戦。女性だけではなくみなさんに見て欲しい映画、おすすめです。バハールを演じるのは「世界で最も美しい100人」に選ばれているゴルシフテ・ファラハニ。配給:コムストック・グループ+ツイン 1月下旬より、新宿ピカデリー&シネスイッチ銀座ほか全国公開

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©2018 - Maneki Films - Wild Bunch - Arches Films - Gapbusters - 20 Steps Productions - RTBF (Télévision belge)

「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」by KADOKAWA

ヴィヴィアン・ウエストウッドのドキュメンタリー映画の試写を見ました。ヴィヴィアンと言えば、ロンドンのキングスロードからスタートしたパンクデザイナーのイメージですが、アヴァンギャルドなばかりではありません。90年代には美しいペプラムジャケットバッスルスタイルのスカートなどを発表していて私も大好きでした。その頃バイヤーをしていたギンザ・コマツで仕入れて、アルマーニの顧客がヴィヴィアンの美しいフォルムのジャケットに一目惚れしたことを覚えています。ロンドンで買ったアストラカンのペプラムジャケットは今でも大切にしています。映画は、ヴィヴィアンの生い立ちから教え子だった25歳年下の現在(3人目)の夫とのプライベートライフまでもちろんコレクションの裏話も追いかけています。若い人たちには衛星マークが人気ですが、ぜひ彼女の生きざまに触れてみてください。77歳現役です!12/28(金)より角川シネマ有楽町、新宿バルト9他全国ロードショー配給:KADOKAWA

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© Dogwoof

「DRIES」ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画

ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画が公開されます。ドリスと言えば、オリジナリティとリアリティが程よくミックスされた作品でパリコレクションでも安定した人気のデザイナーです。映画は2015年3月に発表されたレディスコレクションからスタートします。私が大好きだったコレクションで、当時が思い出されました。インビテーションはプラスティックに入った生きてる緑の苔でした。ショー会場には芝生をイメージしたその日のために織られた長いカーペットが引かれていました。フィナーレ、モデルたちがそのカーペットの上で、思い思いに横たわるシーンは忘れられません。今でいうインスタ映えのシーンでした。また93年のコレクションは「どうしたの?」というがっかりしたものでした。映画の中でドリス自身が「世界中から酷評されたコレクションでありそれが良い転機になった」と話しています。「コレクションでの発表はいつも緊張する、だから続けてゆく」とも。プライベート生活も覗ける自称”病的な完璧主義者”ドリスを1年間密着した映画。それにしてもお城のような自宅が素敵!必見です。2018年1月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野ほか全国順次公開

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© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

「愛を綴る女」 by ニコール・ガルシア

マリオン・コティヤール主演「愛を綴る女」の試写会に行きました。いつもクールで美しい愛され役が多いマリオンですが、この映画では盲目的に自分が愛する男性を求めていきます。舞台は1950年代のフランス、プロヴァンス地方。時代背景は、女性にとって安定した家庭を築くことこそが幸せ、と思われていた頃です。マリオン演じるガブリエルは地元教師に一方的かつ妄想的な恋をして破れます。親の勧めで愛のない結婚をしますがその後、運命的な男性との出会いが…。妄想と言うより、誰もが持っているロマンティックな憧れの愛を情熱的に官能的に追い求めるのです。監督は女優でもあるニコール・ガルシアです。女性の秘めた気持ちに共感をそそる映画ですが、あの純粋さと情熱はすごい!10月7日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町

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© (2016) Les Productions du Trésor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline's Angel - My Unity Production

「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」 by メアリー・マクガキアン

ル・コルビュジエといえば近代建築の巨匠であり、彼がデザインした建造物や家具はモダニズムの最高傑作品として今でも人気です。そのコルビュジエが唯一、才能に嫉妬した(!?)デザイナー、アイリーン・グレイ。二人を描いた映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」の試写を見ました。芸術家たちの「狂騒の時代」と言われた1920年代のパリとコートダジュールを背景に、実話を基に愛憎のドラマが展開します。フランス人が大好きな”エクリュ”という色があります。オフホワイトでもなくセピアでもない透明感のあるエクリュ。家、壁、家具、衣装、そしてコートダジュールの陽まで、そのエクリュに包まれたおしゃれな映像です。10月14日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開。http://www.transformer.co.jp/m/lecorbusier.eileem/

☆トレビアノート 今年はル・コルビュジエ生誕130周年。本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ、スイスに生まれる。1920年代から建築家として活動を始め、機能主義を貫いた「近代建築の5原則」を掲げる。「住宅とは、住むための機械である」ール・コルビュジエ

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© 2014 EG Film Productions / Saga Film © Julian Lennon 2014. All rights reserved.

「エタニティ 永遠の花たちへ」  by トラン・アン・ユン

もしまた生まれてくるなら…きっと女性で、同じようにファッションの仕事をしたいと思いますが…。映画「エタニティ」は女に生まれ、その運命を淡々と受け入れて生きた女性の物語です。会話の少ない映像と「ナレーション」役の音楽が流れます。もちろん時代は違うけれど、いつの時も運命を受け身ではなく生きてゆく女性の姿、強さ、優しさを描いています。結婚、夫の死、受け継いでゆく娘との関係など。「生」と「死」がテーマです。監督は1962年にベトナムで生まれ1075年に家族とフランスに移り住んだトラン・アン・ユン。彼自身は映画の中のブルジョアジーとは無縁の生活を送っています。ベトナムでは、Eternite(永遠)etreinte(抱きしめること)の綴り変えと言われているそうです。「ココ・アヴァン・シャネル」のオドレイ・トトゥが10代から60代までを熱演。今秋 シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー 配給:キノフィルムズ

© Nord-Ouest

PROFILE
萩原輝美
ファッション・ディレクター


毎シーズン、ミラノ、パリなど世界のデザイナーコレクションを取材。ファッション雑誌に記事、コラムを寄稿する。大学、専門学校の各種セミナー講師、デザインコンテスト審査員を務める。エレガンスをリアルに落とし込むファッション提案に定評があり、セレクトショップのプロデュースも手がける。最近は着物にも関心を広げ、ファッションと同じように日常にとり入れる企画、提案をしている。趣味は乗馬。


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